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2025年7月29日

好調なトレーディング収益が米銀の第2四半期決算を後押し

リサーチ / Themesからの視点

銀行株は2025年、市場の中で最も好調なセクターの一つとなっている。年初来、多くの大型銀行株が20%を超える上昇を記録しており、その背景には利下げへの期待、規制緩和の見通し、資本市場活動の活発化への期待がある。

最近、米銀各行が2025年第2四半期の決算を発表し、その実際の業績の一端が明らかになった。ここでは、変化する経済情勢と不安定な金融市場の中で、各行がどのようなパフォーマンスを見せたかを見ていく。

JP Morgan

米国最大手のJP Morganにとって、堅調な四半期となった1。同四半期の売上高は457億ドルとなり、市場予想の441億ドルを上回った。一時的コストを除いたEPS(一株当たり利益)は4.96ドルとなり、LSEGのコンセンサス予想4.48ドルを上回った。純金利収入(NII)は233億ドルで、前年同期比2%増となった。

JP Morganの決算のハイライトとなったのが、顧客向けの取引執行を担うマーケッツ部門だ。関税を巡る市場のボラティリティに対応して投資家が機会を捉えリスクヘッジを行ったことから、同部門の収益は前年同期比15%増の89億ドルとなり、経営陣が従来示していたガイダンスを上回った。

投資銀行業務の手数料もガイダンスを上回り、前年同期比7%増の25億ドルとなった。この分野の好調はIPO(新規株式公開)およびM&A活動の増加に支えられた。

同四半期中、JP Morganは70億ドル相当の普通株式を自社株買いした。また、今年2回目となる普通配当の引き上げを発表し、2024年第4四半期対比で累計20%の増配となった。同社は期末時点でCET1比率15%を確保しており、所要資本水準を大きく上回っている。

Citigroup

Citiグループの第2四半期決算2は、米国の主要マネーセンターバンクの中でも際立って好調な内容となった。これは株価にも反映され、決算発表後に株価は約4%上昇し、2008年以来の高値を付けた。

同四半期の売上高は217億ドルとなり、前年同期の200億ドルから増加した。EPSは1.96ドルで前年同期比29%増となり、LSEGのコンセンサス予想1.60ドルを大きく上回った。純金利収入は30億ドルで、前年同期比12%増となった。

JP Morganと同様、Citigroupもトレーディング部門が好調だった。同四半期のマーケッツ部門の収益は59億ドルとなり、前年同期比16%増(2020年第2四半期以来の最高水準)を記録した。投資銀行部門も好調な結果となり、手数料はM&AおよびIPO活動(Citiはステーブルコイン発行会社Circleおよび取引プラットフォームeToroのIPOで主幹事の一角を担った)に支えられ、前年同期比13%増の9億8,100万ドルとなった。成長分野として注力するウェルス部門に目を向けると、収益は前年同期比20%増となった。全体として、複数の事業セグメントで強さが見られた素晴らしい四半期となった。

同四半期中、Citigroupは普通配当と自社株買いを通じて31億ドルを株主に還元した。第3四半期にはさらに40億ドル以上の自社株買いを予定している。第2四半期末のCET1比率は13.5%となり、強固な資本基盤を示している。

Goldman Sachs

Goldman Sachsの決算3も印象的な内容だった。同四半期の純収益は146億ドルで前年同期比15%増、希薄化後EPSは10.91ドルで前年同期比22%増となり、コンセンサス予想の9.53ドルを大きく上回った。純金利収入は31億ドルで前年同期比56%増となった。

この好業績は、株式部門と投資銀行部門が市場予想を上回る成果を上げたことに牽引された。同四半期中、投資家が関税関連リスクに対応するためポートフォリオを再調整したことから、株式部門の収益は36%増の43億ドルとなった。投資銀行部門の手数料は案件数の増加を背景に前年同期比26%増の22億ドルとなった。

Goldmanの決算における弱点は、機関投資家や富裕層向けのアセット・ウェルスマネジメント部門だった。同部門の収益は3%減の38億ドルとなった。しかし全体としては、第2四半期決算は堅調な内容だった。

株主還元については、同社は第2四半期に普通株主へ40億ドルの資本を還元した。このうち30億ドルが自社株買いで、残りが配当だった。今後については、第3四半期から四半期配当を1株当たり4.00ドルに引き上げる方針を示している。

Wells Fargo

Wells Fargo4の株価は、第2四半期決算発表後にやや軟調な展開となった。主な理由は、同行が2025年通期の純金利収入ガイダンスを引き下げたことにある。第2四半期のNIIは2%増の117億ドルにとどまり、経営陣は今年のNIIについて横ばいを見込むとした。

とはいえ、全体として決算内容が悪かったわけではない。売上高は208億ドルで前年同期比1%増、EPSは1.60ドルで前年同期比20%増となった。なお同四半期中、同行は30億ドル相当の普通株式を自社株買いしている。

注目すべき点として、6月に米FRBはWells Fargoに7年間課してきた2兆ドルの資産上限規制を解除した。これにより同行は今後、より積極的な戦略を追求できるようになる見込みだ。その結果として収益性の向上や投資家からの関心の高まりにつながる可能性がある。

Morgan Stanley

Morgan Stanley5は市場予想を上回る決算となり、売上高168億ドル、EPS2.13ドルを計上した。このEPSはLSEG予想の1.96ドルを大きく上回る水準だった。純金利収入は24億ドルで前年同期比14%増となった。

第2四半期はMorgan Stanleyの複数の事業部門が好調だった。ウェルスマネジメント部門の収益は株式市場の上昇に支えられ、前年同期の68億ドルから78億ドルに増加した。トレーディング収益も前年同期の70億ドルから76億ドルに増加した。株式引受業務については、フォローオン(追加株式発行)や転換社債案件、IPOの増加を背景に収益が42%急増し、5億ドルとなった。なお、Morgan Stanleyは6月に上場したフィンテック企業Chimeの主幹事を務めている。

一方でマイナス材料として、Morgan Stanleyの投資銀行部門はGoldman Sachs、Citi、JP Morganといった競合各行ほど早期の回復を見せなかった。同部門の収益は15億4,000万ドルとなり、前年同期の16億2,000万ドルを下回った。

資本還元については、Morgan Stanleyは四半期配当を1株当たり1.00ドルに引き上げる方針を示した。また、追加的な資本配分について柔軟性を維持する考えも示している。同行の第2四半期末のCET1比率は15%と高水準だった。

Bank of America

最後にBank of America6を見ると、純利益は71億ドル(1株当たり89セント)となり、前年同期の69億ドル(1株当たり83セント)から増加した。ただしアナリスト予想の86セントに対しては未達となった。売上高は4%増の265億ドル、純金利収入は7%増の147億ドルとなった。

BofAの決算を詳しく見ると、セールス・トレーディング収益は15%増の54億ドルとなり、第2四半期として過去最高を記録するとともに、前年同期比での増収は13四半期連続となった。トレーディング部門の内訳では、株式部門の収益が10%増、債券・為替・コモディティ(FICC)部門の収益が19%増となった。一方で投資銀行部門は重荷となり、手数料は9%減の14億ドルにとどまった。

同四半期中、BofAは73億ドルを株主に還元した。内訳は自社株買いが53億ドル、普通配当が20億ドルだった。今後については、第3四半期から普通配当を8%引き上げる計画を示している。

銀行株投資における分散の重要性

総じて、米銀各行の第2四半期決算は全体として堅調な内容だった。堅調なトレーディング収益と資本市場活動の回復に支えられ、ほとんどの銀行が市場予想を上回り、多くが株主還元の拡大を発表した。ただし、一部の銀行では特定分野でのパフォーマンスが振るわず、それが株価の軟調さにつながるなど、業績にはばらつきも見られた。これは、銀行セクターへの投資においては分散されたアプローチを取ることの重要性を示している。

脚注:

1 JPMorgan Chase & CO、"Second-Quarter 2025 Results"、2025年7月15日時点

2 Citigroup、"Second Quarter 2025 Results and Key Metrics"、2025年7月15日時点

3 Goldman Sachs、"Second Quarter 2025 Earnings Results"、2025年7月16日時点

4 Wells Fargo、"2Q25 Financial Results"、2025年7月15日時点

5 Morgan Stanley、"Morgan Stanley Second Quarter 2025 Earnings Results"、2025年7月16日時点

6 Bank of America、"2Q25 Press Release"、2025年7月16日時点

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