評価額1兆7,500億ドルに上るSpaceXのIPOは、幅広い関係者にとって実入りの大きい取引となった。長年の出資者、個人投資家、従業員に多大な富をもたらしただけでなく、この案件はウォール街にとっても莫大な棚ぼた収入となっている。CNBCによれば1、今回のIPOに関与した銀行各行は、合計で推定5億ドルの手数料を手にする見込みだという。したがって、これらの金融機関については、近い将来に好調な決算が見込まれる可能性がある。
銀行にとっての巨額の棚ぼた収入
SpaceXは、1株135ドルで5億5,560万株を売り出すことにより、IPOで750億ドルを調達した。2 この取引により、この宇宙開発大手の評価額は、価格決定時点で1兆7,500億ドル近くに達した。
今回の取引を引き受けた銀行各行に支払われた手数料は、750億ドルの約0.67%に相当した。3 これは、コミッションにして約5億ドルに換算される。
CNBCによれば、今回の大型上場において主幹事証券を務め、機関投資家対応の大部分を担ったGoldman SachsとMorgan Stanleyは、それぞれ約1億ドルの手数料を手にする見込みだという。一方、募集に関与したBank of America、Citigroup、JP Morganも、それぞれ約7,500万ドルを得る見込みである。
なお、今回のIPO以前において、個別銘柄の上場による引受手数料収入として最大だったのは3億ドルであり4、これは2014年のAlibabaのIPOで銀行各行が得た金額だった。
Goldman Sachsにもたらされる複数の恩恵
成功したIPOで株式配分を受け、即座にリスクフリーの利益を得るヘッジファンドなどの資産運用会社は、その利益の一部を「ソフトダラー」の形で主幹事証券に還元することが多い点にも触れておく価値がある。ソフトダラーとは、実際の取引執行コストを上回る形で支払われる、取引執行に対する手数料のことである。IPOの専門家であり、フロリダ大学教授で「ミスターIPO」の異名を持つジェイ・リッター氏4によれば、初日の利益の約30%が通常ソフトダラーの形で証券会社側に還元され、その大部分が主幹事証券に渡るという。
したがって、SpaceXの目論見書で主幹事の筆頭(left lead underwriter)を務めたGoldman Sachsは、今回の案件から相当な利益を得た可能性が高い。SpaceX株が取引初日にほぼ20%上昇し5、IPOで株式配分を受けた投資家が大きな利益を得たことを踏まえると、同社は顧客から相当額のソフトダラーを受け取った可能性が高い。
もう一点付け加えると、今回のIPOは価格決定および上場後の値上がりという両面で非常に成功した案件だった。機関投資家向け金融・引受業務の世界では、上場後20%程度の値上がりは「スイートスポット」と広く見なされている。これは、上場企業、初期投資家、そして投資銀行という主要な3者の利害を絶妙に均衡させる水準だからである。
これほどの成功を収めたことで、Goldman Sachsは、AnthropicやOpenAIといった今後予定されるIPO案件においても有利な立場を確保することになる。結果として、投資銀行業務の手数料収入という観点で、同行にとって非常に大きな1年になる可能性がある。

銀行株:明るい見通し
こうした状況を踏まえると、今後数四半期は米大手銀行にとって非常に好調な時期となる可能性がある。投資銀行業務の手数料収入に、トレーディング収益やウェルスマネジメント収入が加わることで、コンセンサス予想を容易に上回り得る力強い最終利益の拡大につながる可能性がある。
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脚注:
1CNBC「SpaceX IPO takeaways: SPCX closes at $161, jumping 19% after record debut」、2026年6月13日時点
2CNBC「SpaceX raising $75 billion in record-setting IPO as Nasdaq debut awaits」、2026年6月11日時点
3Yahoo Finance「SpaceX Strikes Rare Deal to Pay $0 to Bankers for IPO Greenshoe」、2026年6月13日時点
4Fortune「SpaceX lowballed its bankers on fees. Goldman Sachs has another way to win big」、2026年6月11日時点
5Google Finance、2026年6月15日時点
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