ヒューマノイドロボットは、SFの世界から現実の世界へと急速に移行しつつある。かつては近未来的に思われた技術も今や現実のものとなりつつあり、数多くの企業がプロトタイプを開発し、近い将来の量産化を目指している。
投資家にとって、ヒューマノイドロボットの台頭は、その潜在的な用途の広さを踏まえると、今後数年間で魅力的な投資機会をもたらす可能性がある。ここでは、業界の成長予測と、この刺激的なテクノロジー分野へのエクスポージャーを獲得する方法について見ていく。
2050年までに7兆ドル規模の産業に?
ヒューマノイドロボット産業は今日まだ黎明期にあるが、今後数十年で目覚ましい成長を遂げると見込まれている。Morgan Stanleyのアナリストによれば、2035年までに1,300万体のヒューマノイドが稼働し、2050年には10億体に達するとされ1、市場規模は今世紀半ばまでに5兆ドルに達する可能性があるという。Citi Global Insightsのアナリストは、これをさらに上回る規模になる可能性があるとみている。同社の見解では、家庭向けサービスや産業用途におけるこの技術の潜在力を踏まえると、2050年までに市場規模は最大7兆ドルに達し得るという2。なお、Goldman Sachsのアナリストは、イノベーションが急速に進み需要が急増する「ブルースカイ」シナリオでは、ヒューマノイドロボットが次の「マストハブ」デバイスになり得ると指摘している3。言い換えれば、需要はスマートフォンや電気自動車(EV)に匹敵する規模になり得るということだ。
なお、Tesla CEOのElon Musk氏は、2040年までに地球上のヒューマノイドの数が人間の数を上回る可能性が高いとの見方を示している。Musk氏は将来的に、Teslaが「Optimus」ロボットを、自動車の価格を下回る2万〜3万ドルで販売できるようになることを期待している4。

Nvidia CEOのJensen Huang氏も、この市場規模の可能性について言及している。同氏はロボティクスをAI(人工知能)の次の章と位置付けており、ヒューマノイド市場は非常に大きなものになるとみている。

つまり、この産業が大きな潜在力を持つというのが総意的な見方だ。今後数年、そして数十年にわたり、刺激的な進展が見られると期待される。
広範な潜在的用途
ヒューマノイドロボット市場がこれほど大きくなると予測される理由の一つは、多様な産業において潜在的な用途があるためだ。今後、ヒューマノイドは以下のような用途で利用される可能性がある。
家庭内アシスタント業務: ロボットは、料理、掃除、洗濯、芝刈りなど、パーソナルアシスタントとして機能する可能性がある。
医療・高齢者介護: ヒューマノイドは、患者のモニタリング、リハビリテーション・理学療法の補助、話し相手としての役割を担う可能性がある。
製造・物流: ロボットは倉庫や工場に配備され、機械の操作、組立ライン作業、貨物輸送、品質管理検査などを行う可能性がある。
小売・ホスピタリティ: 小売分野では商品の陳列や接客に、ホスピタリティ業界では注文受付、配膳、チェックイン補助などに活用される可能性がある。
セキュリティ: ヒューマノイドロボットは、集中力を切らすことなく継続的に巡回できるため、警備・監視における効果的な第一防衛線となり得る。
これらのロボットの重要な強みの一つは、人間の姿や動作を模倣できる点にあることに留意したい。これは、ロボットが稼働するために工場、倉庫、病院、小売スペースを再設計する必要がないことを意味し、大規模なインフラ変更なしに私たちの世界へ直接統合できる可能性がある。
導入の障壁
もちろん、潜在的な用途は幅広いものの、産業の成長を妨げかねない導入障壁も数多く存在する。主なものは以下の通りだ。
コスト: 現在、ヒューマノイドロボットの製造コストは高く、商業的に成り立つためにはコストの低下が必要となる。
社会的受容: 人々は、人間のような外見・動作をするロボットと空間を共有することに抵抗を感じる可能性がある。
バッテリー寿命: 完全自律型ヒューマノイドのバッテリー寿命は依然として短く、改善が必要となる。
安全性: 開発企業は、ロボットが人間と共存する環境で安全に稼働できることを証明する必要がある。
生産上の制約: 生産の拡大は、この技術の展開を目指す企業にとって課題となり得る。
ヒューマノイドロボットへの投資
ヒューマノイドロボットへの投資を検討する際、まずはサプライチェーンを理解することが有用な出発点となる。サプライチェーンは大きく3つの領域に分けられる。ロボットの「頭脳」向けの技術を提供する企業、ロボットの「身体」向けのソリューションを提供する企業、そしてこれらすべての技術を統合して最終製品を製造する企業だ。
ヒューマノイドロボットの頭脳は、知能、認識、協調動作を担う部分だ。ここで必要とされる技術には以下が含まれる。
ソフトウェア・AI(人工知能)技術: ロボットが効果的に機能するためには、オペレーティングシステム、命令を理解するための大規模言語モデル(LLM)、学習・意思決定のためのソフトウェアが必要となる。
半導体・プロセッサー: このハードウェアは、ロボットのすべてのシステムを効率的に稼働させるために必要な演算能力を提供する。
ロボットの身体には、動作や外界とのやり取りを可能にするすべての物理的コンポーネントが含まれる。ここでの主要な構成要素は以下の通りだ。
アクチュエーター・モーター: これらはロボットがエネルギーを物理的な動作に変換することを可能にし、歩行、物体の把持、重量物の持ち上げなどの作業を実行できるようにする。
センサー・カメラ: これらはロボットが周囲の環境を認識するのを助け、ナビゲーション、物体の識別、周囲の世界との安全なやり取りを可能にする。
電源システム: バッテリーおよびバッテリー管理システムは、ロボットのすべてのモジュールに安定した電力供給を行うために必要となる。
素材: ヒューマノイドロボットの物理的な骨格、いわゆる「エクソスケルトン」は、通常、アルミニウム合金やカーボンファイバーなどの軽量で耐久性の高い素材で作られる。
頭脳と身体それぞれのカテゴリーの様々なコンポーネントや技術を統合し、最終製品を組み立てる企業は、しばしば「インテグレーター」と呼ばれる。これらの企業は、個々の部品を完全に機能する市場性のあるロボットへと変える点に特化している。
つまり最終的に、サプライチェーンは実に幅広い企業によって構成されている。したがって、ヒューマノイドロボットへの投資方法は多岐にわたる。興味深いことに、Goldman Sachsのアナリストは、現時点で最も有望な投資機会は、サプライチェーンを構成する部品メーカーにある可能性があると指摘している3。大規模なロボット開発・製造に伴う多額のコストを踏まえると、短期的にはこれらの企業の方が、インテグレーターよりも成功に近い位置にいる可能性がある。
注目のヒューマノイドロボット関連銘柄5選
個別銘柄に目を向けると、注目すべき企業には以下が含まれる。
Tesla(組入比率4.98%*): 近年、EV大手のTeslaは汎用ヒューマノイド「Optimus」の開発を進めている。これは、AI・ロボティクス分野のリーダーを目指す同社のビジョンの中核をなすものであり、CEOのElon Musk氏は今後数年で年間数百万台の生産を目指している。
XPeng(組入比率2.67%*): 中国のEVメーカーであるXPengは、「IRON」と呼ばれる製品でヒューマノイドロボティクス分野への本格参入を果たした。同社は、自社車両で使用しているのと同じフルスタックのAI・自動運転技術を活用し、産業用途と家庭用途の両方に対応できる汎用ロボットの開発を目指している。
Rainbow Robotics(組入比率4.06%*): Rainbow Roboticsは、ロボットシステムエンジニアリング技術を専門とする韓国のメカトロニクス企業だ。同社はMITやGoogleなど世界トップクラスの研究機関に導入実績のある「HUBO2」というヒューマノイドプラットフォームを開発している。
Nvidia(組入比率4.08%*): AIチップおよび高速コンピューティングハードウェアの大手プロバイダーであるNvidiaは、ロボティクス革命において主要な役割を果たすとみられる。同社は最近、ロボットの「頭脳」として機能する強力なAIモジュール「Jetson Thor」や、この技術の開発を加速させるための包括的プラットフォーム「Isaac GR00T」など、ヒューマノイド向けの複数の製品を開発している。
Ouster(組入比率4.37%*): Ousterは、高解像度デジタルLiDARセンサーを設計・製造する米国のテクノロジー企業だ。現在、同社の技術は倉庫自動化向けの自律走行搬送ロボット(AMR)、配送ロボット、ナビゲーション・認識向けの産業用ロボットなど、幅広いロボティクス製品に使用されている。
これらの企業はいずれも潜在力を持つものの、投資家はヒューマノイドロボティクス産業が現在もまだ黎明期にあることを念頭に置く必要がある。つまり、長期的にどの企業が成功を収めるかを見極めるにはまだ早すぎるということだ。競争環境を踏まえると、この産業に対しては分散投資アプローチを取ることが賢明と言えるかもしれない。テーマ型商品に投資することで、個別企業リスクを軽減しつつ、産業全体の長期的な成長ポテンシャルへのエクスポージャーを維持できる可能性がある。
*Themes Humanoid Robotics ETFにおける組入比率、2025年9月15日時点。
Themes Humanoid Robotics ETFのご紹介
ヒューマノイドロボティクス産業への分散投資エクスポージャーの獲得に関心のある方は、Themes Humanoid Robotics ETF(BOTT)をご検討いただきたい。同ファンドは、以下の業種グループにおいて過去12か月間のトータルリターンがプラスとなった時価総額上位30社を選定するSolactive Global Humanoid Robotics Index(SOLGHRBN)への連動を目指している。
ファクトリーオートメーション機器
汎用・プロセッサー・特殊半導体
産業機械部品・支援機器
プログラマブルロジック・ASIC半導体
この商品を通じて、投資家はロボティクスエコシステムに属する数十社へのアクセスを得ることができる。同ファンドの経費率は0.35%であり、市場に存在するヒューマノイドロボットETFの中でも最も低コストな部類に入る。
重要な開示事項およびファンドに関する情報については、ファンドのウェブページをご覧ください。
脚注:
1MorganStanley、Humanoids: A $5 Trillion Market、2025年5月14日時点
2Yahoo Finance!、Humanoid robots could create a $7 trillion market in the next 25 years: Citi analysts、2024年12月5日時点
3Goldman Sachs、The global market for humanoid robots could reach $38 billion by 2035、2024年2月27日時点
4YouTube、CNBS Televesion、Tesla CEO Elon Musk on Optimus robot: This will be the biggest product ever of any kind、2024年10月11日時点