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2025年9月24日

金を凌ぐ輝き、金鉱株が示す圧倒的パフォーマンス

リサーチ / Themesからの視点

地政学的緊張の継続で金価格が最高値を更新

ロシア・ウクライナ紛争勃発以降、世界的な金需要は急増しており、価格は2022年9月の水準から133%以上上昇した。金は今年、驚異的な底堅さを見せており、年初来で44%上昇し、世界の株式市場のパフォーマンスを上回っている。

金相場の上昇は、地政学的緊張の継続、インフレ懸念、FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和サイクル再開への期待、米ドル安、中央銀行の需要など、複数の追い風要因が重なって支えられてきた。世界的な債務水準の高止まり、米国の成長見通しの弱さ、関税に起因するインフレリスクも、投資家を金へと向かわせる要因となっている。また、米国の財政規律やFRBの組織的独立性への懸念の高まりが、安定性を求める動きを一段と強め、不確実性の高まる局面における金の魅力を高めている。

ドル安と利下げ観測の高まりで金が急伸

金価格は火曜日、1オンス=3,790ドルの史上最高値まで急伸し、1979年以来最も好調な年間パフォーマンスとなる見通しだ。今回の上昇は、FRB(米連邦準備制度理事会)からのハト派的なシグナルを受けたもので、市場では年内に3回の利下げが実施されるとの見方が広がっている1。

さらに、米ドルは10週間ぶりの安値まで下落し、金の魅力を一段と高めている。金のような無利子資産は、低金利環境において国債に対する相対的な魅力が高まるため、通常はアウトパフォームする傾向がある。

Gold Surges as Dollar Weakens and Rate Cut Bets Mount

米国の政策不透明感とFRB独立性の低下で金が上昇

ドナルド・トランプ米大統領の貿易関税を巡る不透明感も、金相場を押し上げる要因となってきた。加えて、トランプ氏とFRBとの直接的な対立は、米国の政策運営に対する信認を揺るがし、世界の基軸通貨としてのドルの地位をさらに損なっている2。

トランプ氏による中央銀行への政治的圧力は、組織としての信頼性を損ないかねず、ドル建て資産からの海外資金の分散を加速させる可能性があり、金の戦略的な保有意義を高めている。

インフレ・スタグフレーション懸念とFRBの緩和期待

総合インフレ率は落ち着きつつあるものの、根強いスタグフレーション懸念が金への需要を押し上げている。金は、成長や雇用が悪化する中でインフレが持続するというスタグフレーションシナリオに対するヘッジとして、ますます注目されるようになっている。

直近の弱い雇用統計と2021年以来の高水準となった失業率3を受け、FRBが年内に3回の利下げを実施するとの見方が固まりつつあり、金価格を押し上げている。先物市場は、パウエル議長の任期が2026年5月に終了するまでに、100ベーシスポイントを超える緩和が織り込まれていることを示唆している。

テクニカル分析

2025年初めの力強い上昇の後、金は4月からレンジ相場(保ち合い)入りし、通常は上放れにつながる継続パターンである「アセンディング・トライアングル(上昇三角形)」を形成した。9月初旬に3,499ドルのレジスタンスを上抜けたことでこの強気パターンが確認され、三角形の高さから算出される目標値である3,800〜3,900ドル圏に向けた道が開けた。

RSI(相対力指数)が強い買われすぎ水準にあるため短期的な調整の可能性はあるものの、モメンタムは強気相場のバンドとされる40〜80%の範囲内にしっかりととどまっており、長期的な強気の見通しを裏付けている。ファンダメンタルズ、テクニカル両面で良好な地合いを踏まえると、2026年には4,500ドルまでの上昇も視野に入るとみている。

Inflation, Stagflation Fears, and Fed Easing Expectations

金鉱株ETFが金をアウトパフォームしている理由と2026年の見通し

2024年は金相場にとって好環境だったにもかかわらず、金鉱株ETFのパフォーマンスは金そのものに及ばなかった。主な要因は、エネルギー・燃料から人件費・設備に至るまで、鉱山会社が全般的にコスト上昇に直面し、金価格上昇による収益性向上のメリットが相殺されたことにある。金が純粋な安全資産とみなされる一方、鉱山株は株式として扱われ、高い実質金利や金対比での株式市場全体の劣後パフォーマンスの圧力にさらされやすかった。

この状況は2025年に一変した。原油価格が年初来で下落し、その他の投入コストも安定化する中、金価格の上昇が続くにつれ、鉱山会社のマージンは改善している。長年にわたるバランスシートの修復と規律あるキャピタルスペンディングの成果が表れ、多くの企業がフリーキャッシュフローを改善させ、配当や自社株買いを通じて株主に資本を還元できるようになっている。金価格へのレバレッジと株式インカムとしての魅力の組み合わせが金鉱株ETFへの資金流入を呼び込み、金地金をアウトパフォームする結果につながっている4。

2026年を展望すると、金鉱株の先行きはマクロ経済環境次第となる。FRBが想定通り利下げを実施し、米ドルがさらに軟化すれば、金相場は引き続き底堅く推移し、鉱山株のアウトパフォームが続く土台が整うだろう。関税が消費者に転嫁されることもあり、インフレは高止まりする可能性が高く、根強い物価上昇と緩和的な金融政策の組み合わせが実質金利をマイナス圏に押し下げる可能性がある。これは歴史的に金にとって追い風となってきたシナリオだ。こうした環境下では、売上高は金価格とともに上昇する一方で操業コストは比較的安定的に推移するため、鉱山会社は特に大きな恩恵を受け、増益につながりやすい。

金価格の上昇を背景に、投資家は金・金鉱株ETFに数十億ドル規模の資金を投入

金価格が最高値を更新する中でも、投資家の金への需要は冷める気配を見せていない。世界の金ETFは8月も資金流入が続き、3か月連続の流入となった。これは主に北米・欧州のファンドによるものだ。現物裏付け型の商品には当月、55億米ドルの資金が流入し、年初来の流入額は470億米ドルに達した。これは2020年のピークに次ぐ、過去2番目の高水準である5。

金鉱業に携わる企業の株価動向を追跡するSolactive Global Pure Gold Miners Indexは年初来で89%以上上昇した一方、同指数(手数料・費用控除前)への連動を目指すThemes Gold Miners ETFは119%以上上昇しており、いずれも金の44%上昇やS&P500種指数の13%上昇を大きく上回っている。

脚注:

1Federal Reserve、2025年9月17日:FOMC見通し資料、アクセス可能版

2Harvard Kennedy School、The End of the Federal Reserve as We Know It?、2024年9月26日時点

3Trading Economics、United States Unemployment Rate、2025年9月23日時点

4Discovery Alert、Record-Breaking Profits for Gold Miners in Q2 2025、2025年8月16日時点

5World Gold Council、Gold ETF Flows: August 2025、2025年9月5日時点

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