ここ数カ月、AIバブル論がメディアの見出しを席巻している。マイケル・バーリ氏、ジェレミー・グランサム氏、ポール・シンガー氏といった著名な投資家が過熱した市場センチメントへの懸念を表明する中、投資家は時に神経質になっている。
しかし、AIバブルへの懸念は過剰である可能性がある。懐疑派が示唆するよりも、AI強気相場が持続力を持ち得る3つの理由を紹介する。
AI株のバリュエーションは決して過熱していない
資産バブルを特徴づける要素の一つは、資産のバリュエーションと実体経済のファンダメンタルズとの間に生じる大きな乖離である。例えば1990年代後半のドットコムバブルでは、多くのインターネット関連銘柄が実際の業績とかけ離れた極めて高いバリュエーションで取引されていた。当時インターネットの基幹企業と見なされていたCiscoはその好例だ。2000年初頭、同社の株価収益率(PER)は約200倍で取引されていた1。
現在のAI市場を見ると、状況は大きく異なる。実際のところ、AI関連銘柄の多くは現時点で非常に妥当なバリュエーションで取引されている。例えば、高性能GPUでAI革命を牽引し、今会計年度に約60%の増益が見込まれるNvidiaのPERは現在約25倍にとどまる2。Gemini 3.0で成果を上げており、2025年通期で約30%の増益が見込まれるAlphabetのPERも約28倍だ2。これらはバブル的なバリュエーションとは言えない。両社が生み出している成長を踏まえれば、これらの倍率は妥当と言えるだろう。
もちろん、AI市場の中には高いバリュエーションが付いている銘柄も一部存在する。依然として非公開企業であるOpenAIは、売上高が約200億ドルにとどまるにもかかわらず4、現在8,300億ドルの企業価値評価を受けている3。Palantirは売上高が約44億ドルにとどまる中2、時価総額は4,200億ドルに達している5。しかし全体として見れば、バリュエーションは過熱しているとは言えない。
市場に過熱感(ユーフォリア)は見られない
投機的バブルのもう一つの特徴は、ニュースや価格にかかわらず資産価格が一様に上昇し続ける、相関性の高い値動きである。こうした無差別な買いは強い高揚感(ユーフォリア)によって引き起こされ、投資家は財務面のデューデリジェンスよりも「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」を優先し、価格を問わずモメンタムを追いかける。
現状はこれに当てはまらないようだ。2026年入り時点で一部のAI関連銘柄は過去最高値に近い水準にあるものの、多くはそうではない。例えばOracleは現在、高値から約40%下落した水準で取引されている5。同社のAI関連設備投資への懸念とそれに伴うフリーキャッシュフローの不足を背景に、株価は最近下落した。その他、高値から大きく離れているAI関連銘柄には、Meta Platforms、Microsoft、Broadcomなどがある。結局のところ、現在の投資家はAI関連銘柄に対して非常に選別的な姿勢を取っており、しっかりと実行できている企業には報い、失敗を犯している可能性のある企業には厳しい評価を下している。これはバブルではなく、健全な強気相場の兆候である。
AIは測定可能な成果を上げている
最後に、AIそのものについても触れておく価値がある。AIは強力な技術であり、構造的な観点から見ると、25年前のドットコムブームとは状況が大きく異なるためだ。
ドットコムバブルでは、多くのビジネスモデルが、長期的な事業としての実現性がほとんど見込めない投機的な発想の上に構築されていた。Boo.comはその一例だ。1999年、同社は消費者が衣服を3Dで閲覧しバーチャルモデルに試着させられる、高級グローバルファッションストアの構築を試みた。しかし当時、利用者の90%はダイヤルアップモデムでインターネットに接続していたため、Boo.comのホームページを読み込むだけで数分かかることも珍しくなかった。これは持続可能なビジネスとは言えず、Boo.comは18カ月で1億3,500万ドルを浪費した末に破綻した6。
現在のAIの状況を見ると、世界中で数億人の消費者に利用されている実用的なソリューションが既に存在している。Googleの「AI Overviews」機能はその好例だ。現在、月間20億人以上がこの機能を利用している7。Googleは「Gemini」アプリでも成果を上げており、月間アクティブユーザー数は6億5,000万人に達している8。
AIは企業分野でも急速に普及が進んでいる。例えば、2024年10月に開始したばかりのAgentforceサービスには、既に9,500社の有料顧客が付いている9。一方ServiceNowでは、生成AIソリューション「Now Assist」を1,700社が利用している10。AIが企業社会において測定可能な成果を上げていることを示す調査結果がある点も注目に値する。OpenAIの最近のレポート11によると、AIエージェントを活用する「フロンティア企業」では、従業員1人当たり1日40~60分の時間削減効果が見られ、ヘビーユーザーでは週10時間超の削減が報告されているという。

つまり、主に将来の可能性の上に成り立っていたドットコムブームとは異なり、AI革命は本物の技術的変革であるように見える。記録的な企業業績と、実験段階から大規模な企業導入への急速な移行に支えられ、この革命はデジタル経済全体における価値の創出・獲得・分配のあり方を根本から変えつつある。
2026年、AI株に投資する根拠
以上を総合すると、人工知能関連銘柄のファンダメンタルズ見通しは依然として強固である。この技術が実社会における生産性向上の推進力として定着しつつあり、バリュエーションも妥当な水準にあることから、2026年入りにあたってAI関連銘柄は改めて注目に値すると言えるだろう。
Footnotes:
1Slashdot、Cisco株、ドットコムバブル崩壊から25年で過去最高値を更新、2025年12月11日時点
2LSEG、2026年1月1日時点
3Investing.com、OpenAI、企業価値8,300億ドルで1,000億ドル規模の大型資金調達を模索 - WSJ、2025年12月18日時点
4CNBC、サム・アルトマン氏、OpenAIの年換算売上高は今年200億ドルを超え、2030年までに数千億ドル規模になると発言、2025年11月6日時点
5Google Finance、2026年1月1日時点
6Wikipedia、Boo.com、2026年1月5日時点
7TechCrunch、GoogleのAI Overviewsの月間利用者数が20億人に到達、AI Modeは米国・インドで1億人、2025年7月23日時点
8Google Blog、Gemini 3がもたらすインテリジェンスの新時代、2025年11月18日時点
9Salesforce、Salesforce、AgentforceとData 360が牽引し2026年度第3四半期に過去最高の業績を計上、2025年12月3日時点
10The Motley Fool、ServiceNow(NOW)2025年第3四半期決算説明会トランスクリプト、2025年10月30日時点
11OpenAI、企業におけるAI活用の現状、2025年12月8日時点
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