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執筆者: Edward Sheldon

AIチップ:なぜ今、CPU関連株が急浮上しているのか

2026年5月13日  |  リサーチ

ここ数年、AIチップといえばGPU(画像処理半導体)が主役だった。AIモデルの学習には大規模な並列処理能力が不可欠だからだ。しかし今、半導体市場は大きな転換点を迎えている。ハイパースケーラーやAI研究機関からの需要急増を背景に、突如としてCPU(中央処理装置)が脚光を浴びているのだ。

では、このAIチップ市場におけるシフトの背景には何があるのか。そして、CPU分野を牽引しているのはどの企業なのか。

エージェント型AIはCPUに依存する

CPU需要の急増を牽引しているのは、エージェント型AIの台頭だ。大規模言語モデル(LLM)の学習はGPU負荷の高いタスクである一方、エージェント型AIアプリケーションの実行は極めてCPU負荷の高い処理となる。

エージェント型AIシステムは単にテキストを生成するだけではなく、複雑なタスクを統括する自律的なエージェントとして機能する。データベースを検索し、コードを書き、APIと連携し、アプリケーションを実行する。

そして、こうした処理の調整にはCPUが必要となる。「交通整理役」としてのCPUがなければ、AIエージェントは意思決定ループや外部からのデータ入力待ちで滞留してしまい、最速のGPUでさえ次の指示を待つだけの状態に陥ってしまう。

つまり、我々はAIブームにおけるGPU一辺倒のフェーズを卒業したということだ。AIモデルが単純なチャットアシスタントから能動的なエージェントへと移行するにつれ、フロンティアAI研究機関やハイパースケーラーは、自らのワークロードを支える高性能サーバーCPUの確保に奔走している。

変化するGPUとCPUの比率

データセンターにおけるCPU対GPUの比率が、エージェント型AIの台頭とともに劇的に引き締まっていることは注目に値する。AIチャットボット時代には1対4、あるいは1対8であったこの比率は、今や1対11へと向かっている。

一部のエージェント処理負荷が高いワークロードでは、比率がむしろCPU寄りに傾く場合すらある。データセンターにおけるCPU対GPU比率のこの変化は、現代コンピューティングの歴史における最も重要なアーキテクチャ上の転換の一つであり、我々はGPU優位の世界から、均衡の取れたほぼ拮抗する構成へと急速に移行しつつある。

AI CPUs powering agentic workloads

AMD:AI向けCPUのリーダー

このCPUブームの中心にいる企業の一つがAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)だ。現在、同社のEPYC CPUへの需要は高く、大規模AIクラスター内部で不可欠な「オーケストレーション(統括)頭脳」としての活用が広がっている。最近では、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Tencentがいずれも第5世代EPYC搭載の新規・拡張クラウドインスタンスを発表した。今後については、Metaが年内発売予定の第6世代AMD EPYC CPU(開発コード名「Venice」「Verano」)の主要顧客となる見込みだ。

AMD leading next-generation AI CPUs

AI製品への旺盛な需要を背景に、AMDは足元で力強い成長を遂げている。2026年第1四半期2、データセンター部門の売上高は58億ドルと、前年同期比57%増加した。全体の売上高は103億ドルで、38%増加した。なお、同社の第1四半期決算発表以降、ウォール街のアナリストは同社株の目標株価を相次いで積極的に引き上げている。

インテル:Googleとの緊密な連携

CPU分野におけるもう一つの主要プレーヤーがインテルだ。同社は現在、サーバー、データセンター、スーパーコンピュータ、ハイエンドワークステーション向けに設計された新製品「Xeon 6」で好調な業績を上げている。最近、インテルとGoogleは、Googleのワークロード最適化インスタンス全体でXeonプロセッサの導入を継続する複数年にわたる協業を発表した。Xeon 6はまた、NvidiaのDGX Rubin NVL8システム向けのホストCPUにも選定され、インテルが主要なAIインフラ導入の中心に位置し続けていることを裏付けている。

Intel CEO Lip-Bu Tan

CPU需要の高まりを背景に、インテルは現在、業績が急速に改善している。2026年第1四半期3の売上高は136億ドルと、前年同期比7%増加した。今後については、同社は第2四半期の売上高を138億ドル〜148億ドルと見込んでいる。中央値ベースでは、前年同期(129億ドル)比11%の増収となる計算だ。

Arm Holdings:エージェント型AIに注力

Arm Holdingsはこれまで、スマートフォン向けCPU分野で大きな成功を収めてきた。現在、同社のCPU技術は世界のスマートフォンの99%以上に搭載されている4。しかし最近では、同社はエージェント型AI時代に向けた製品開発を進めている。例えば3月には、x86ベースのプラットフォームと比較してラックあたりの性能が2倍以上となる「Arm AGI CPU」を発表した。この製品はArm自身が製造を手掛ける(Armは従来、自社の設計をNvidia、Qualcomm、Appleなど他の半導体企業にライセンス供与するIPライセンス企業であった)。

ARM Holdings advancing agentic AI with Arm AGI CPU technology

Armの財務状況を見ると、同社は最近、第4四半期および通期で過去最高の業績5を発表しており、第4四半期の売上高は14億9,000万ドル(前年同期比+20%)、通期売上高は49億2,000万ドル(前年比+23%)となった。第4四半期決算では、Arm AGI CPUに対する顧客の反応は強く、2027会計年度・2028会計年度合計で20億ドル超の受注を獲得したとしている。これは、2026年3月の「Arm Everywhere」カンファレンスで同製品が発表された際に示された金額の2倍以上に相当する。

アマゾン:AIチップ分野で存在感を拡大

アマゾンは主にEコマースとクラウドコンピューティングの企業として認識されているが、今日では急成長中のチップ事業を有している。この事業部門では、クラウドコンピューティングプラットフォームであるAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)内で使用されるGraviton CPUを製造している。最新製品は「Graviton5」で、超先端の3nmプロセスで製造され、1チップに192個ものCPUコアを搭載、前世代比5倍のキャッシュ容量を備え、データレイテンシーを大幅に削減している6。なお、x86アーキテクチャを採用するインテルやAMDの従来型サーバーCPUとは異なり、Graviton CPUはArmアーキテクチャを基盤としており、優れたエネルギー効率を実現している。

Arm Holdings AI CPU innovation

アマゾンは四半期決算でチップ事業の売上高の内訳を開示していないものの、2025年度の年次株主向けレターの中で、チップ事業が現在、年間換算売上高200億ドルの水準で稼働していると明らかにした7。特筆すべきは、アンディ・ジャシーCEOが、チップ部門は前年同期比で3桁の伸び率で成長していると述べた点だ。ジャシー氏はさらに、仮にアマゾンのチップ事業が独立企業として他社にチップを販売した場合、年間換算売上高は500億ドル近くに達するだろうと述べた。言い換えれば、アマゾンは世界最大級のデータセンター向けチップ事業者の一つになり得るということだ。

Themes Generative AI ETFに含まれるCPU関連株

ここで紹介したのはCPUを開発する企業のほんの一部に過ぎず、他にもQualcomm、Nvidia、Samsung、Apple、IBM、MediaTekなどが挙げられる。したがって、CPUブームへのエクスポージャーを得る方法は数多く存在する。

現時点で、Themes Generative AI ETFには複数のCPU関連株が組み入れられている点は注目に値する。このETFは、人工知能、データ分析・ビッグデータ、自然言語処理、AI駆動型サービスから収益を得る40社を選定するSolactive Generative Artificial Intelligence Indexへの連動を目指している。

脚注:

1AMD、Agentic AI Changes the CPU/GPU Equation、2026年5月7日時点

2AMD、AMD Reports First Quarter 2026 Financial Results、2026年5月5日時点

3インテル、Intel Reports First-Quarter 2026 Financial Results、2026年4月23日時点

4arm、Experience the Future of AI-Powered Mobile Computing、2026年5月13日時点

5arm、Arm delivers record-breaking quarter and full-year results、2026年5月6日時点

6Amazon News、AWS introduces Graviton5: the company's most powerful and efficient CPU、2025年12月4日時点

7Amazon News、CEO Andy Jassy's 2025 Letter to Shareholders、2026年4月9日時点

執筆者: Edward Sheldon

執筆者は、Themes Management Company LLCの米国関連会社であるLeverage Shares LLCの業務委託先です。Leverage Shares LLCは、会社間サービス契約に基づきThemesへ一定のサービスを提供しています。

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